動画制作をしたいけど、構成はどう作ればいいの?
構成を作らずに動画制作を進めても大丈夫?
こんな疑問やお悩みはありませんか?
集客や販促、ブランディングなどのために動画制作をする場合、その目的を果たすためにも動画の『構成』をしっかり考えておくことは重要です。
そこで今回は、視聴者を惹きつける動画構成のコツをご紹介します。
動画構成を考える際のポイント
動画制作の構成を考える上で重要なのは
- 動画を作る目的
- ターゲット
- 発信媒体
の3つをまず明確にすることです。
動画の目的を決める
動画を制作する目的には、様々なものがあります。
- サービスの認知度を高めたい
- 問い合わせを増やしたい
- 商品を売りたい
例えば「商品を買ってほしい」という目的でも、「動画を見た直後に購入ボタンを押してほしい」場合と「まずは商品自体を知ってもらい、今後の購入につなげたい」場合では、動画の作り方が全く異なってきます。
あれもこれもと欲張って何を訴求したいのか分からない動画にならない為にも、1つのゴールを意識し、そこに向かって視聴者を「ご案内」するつもりで作るのがベストです。
ターゲットを絞る
構成を考える際には、『ターゲット』を絞り込むことも大切です。その動画を誰に向けて発信するかを明確にすることで動画の雰囲気や強調すべきメッセージが見えてきます。
ターゲットは「潜在層」なのか「顕在層」なのか、ということも決めておくと良いでしょう。各層によって有効なアプローチ方法も変わってきます。
潜在層と顕在層
どんな商品であっても、購入までのプロセスにはまず認知することから始まります。
認知したユーザーの中から一部が興味や関心を持ち、さらに比較・検討段階まで進んで、最終的に購入に至ります。このような認知から購入するまでのプロセスを「パーチェスファネル」といいます。
購入へ近くなればなるほど人数が少なくなっていくことから、下図のような逆三角形の漏斗のような形になります。
潜在層とは、商品やサービスに興味や関心がないもしくは知らないユーザー層です。この層はニーズの有無も不明なので、まずは商品やサービスについて認知してもらう必要があります。
顕在層とは、ニーズがあり、商品やサービスを知っているユーザー層です。
この層は、自社商品、サービスが検討段階にあるので、各ユーザーにあった丁寧なアプローチや他社との差別化要素など選ばれる理由を示すことができれば効果的です。
発信媒体を決める
ターゲットを絞ることができたら、どの媒体で情報を届けるかの選定ができます。
SNSで発信する場合は、年齢層の点から、Instagramでは若い年齢層に、TwitterやYouTubeでは幅広い年齢層に、Facebookでは年齢層高めの層に向けて発信していくと良いです。
動画を作る目的と発信媒体が明確になると構成の全体尺も見えてきます。
このように動画を作る目的を定め、視聴者にどのようなアクションを起こして欲しいかを明確にすると構成の軸がブレずに視聴者に届く動画ができます。
「起承転結」を意識した構成にする
『目的』『ターゲット』『媒体』を明確にしたら、どう伝えるかを考えます。多くの人に見てもらえる構成にするためには「起承転結」を意識することが大切です。
起:動画の内容を理解してもらう
起承転結の「起」は物語の始まりを意味します。3W(いつ・どこで・誰が)を意識して、この動画がどのような動画なのかを瞬時に視聴者に理解してもらうことが大切です。
承:話を展開させていく
「承」では物語を展開させていきます。
商品のPR動画であれば、問題点や課題点を挙げるというような構成にすると、視聴者をより自然に物語に引き込むことができます。
転:問題の解決策を提示する
「転」では、承での問題点・課題点が解決されます。物語のクライマックスであり、最も印象に残る部分です。
ここでテーマを感じさせることが重要です。
結:物語の最後を締めくくる
最後を締める「結」は、視聴者に
「こういうことが言いたかったんだ」
と感じさせる時間です。
ここで視聴者の記憶に定着するようにたたみかけます。
起承転結で構成された動画事例
今から紹介する動画は起承転結で構成されており、視聴者を惹きつけるストーリー性のある動画になっています。
みなさんもぜひ、どこが起承転結なのか意識しながら視聴してみてください。
物語は化粧道具でイタズラする女の子とそれを叱るお母さんの登場から始まります。
「私はお母さんになりました」というナレーションが入り、母と子のストーリーだということがわかります。
親子は市場に買い物に出かけます。
「ホットクが食べたい」という娘に、
「おかずを買ってからね」と母が答えます。
ですが、母が買い物に夢中になってる隙に娘がいなくなります。母は娘を探しに行きます。
一見、娘がいなくなるシーンが『転』であるかにも見えますが、ここはまだ『承』の部分になります。視聴者を飽きさせないストーリーの展開になっていますね。
やっと見つけた娘は、ホットクを手に持って座り込んでいました。
「どれだけ探したと思ってるの?」という母に対し、
娘は「あんたホットク好きじゃない」と答えます。
ここで、視聴者はハッとさせられます。
娘と思っていた人物は実は主人公のお母さんだったのです。
そして回想シーンに入ります。
おそらくほとんどの方が、ここでテーマを感じることができると思います。
「お母さんのお母さんになりました」
というナレーションの後に、【認知症家族の負担を分け合いましょう】というメッセージで動画が終わります。
どうでしょうか?
「結」の部分で余韻に浸ることができたのではないでしょうか?
冒頭の「私はお母さんになりました」というナレーションの意味も「結」で繋がりましたね。
ストーリー性のある動画は視聴者を惹きつけます。
ストーリーを持たせることで、視聴者の共感を生み、最後まで視聴してもらえる可能性が高まります。
また、「起」と「結」にギャップを生み出すこともポイントです。映像を通して始まりから遠いところへと視聴者を誘うことで、視聴者は感慨を覚えてくれると考えられるからです。
次はAmazon PrimeのCMです。
バイクでツーリングしてた青年が母からのメールでおばあちゃんの家に寄ることになります。
夫に先立たれ、独り身のおばあちゃん。青年は祖父母が若い頃、一緒にツーリングしてる時の写真を見つけ、思い立ったかのようにスマホを取り出します。
次の日Amazonから荷物が届きます。おばあちゃんはダンボールを開け、少し驚いたような表情を見せます。次ではヘルメットを被って孫とツーリングしてるシーンにうつります。
若い頃を思い出したのか、孫の優しさに感動したのか、おばあちゃんは今にも泣きそうな笑顔を見せます。
とてもほっこりするCMですよね。
冒頭5秒で3W(いつ・どこで・誰が)を表現し(起)、おばあちゃんに何かしてあげたいという青年の想いが(承)、スマホのボタン1つで解決(転)。おばあちゃんの笑顔が視聴者の心を動かす余韻になっています(結)
「次の日に荷物が届く」という訴求ポイントもしっかり表現されてますね。
それでは起承転結の理解が深まったところで、テーマごとの意識ポイントについてお話させていただきます。
動画構成の意識ポイント【動画事例】
商品サービスを直接的にアピールする
こちらの花王の洗剤CMでは、起承で問題点を提示し、転でどう解決するかを示した動画になっています。
洗剤や家電など誰もが知っているような商品は直接的にアピールする構成が多いです。
商品サービスを直接的にアピールする場合は、起から転での問題点が解決されていく過程で視聴者が価値を感じらるように表現しなければなりません。
- この商品を使えば簡単!
- この商品を使えば素早く〇〇できる
- このサービスを使えばコストダウンにつながる
商品サービスの魅力や伝えたいメッセージをはっきりとさせることが重要です。
商品サービスを間接的にアピールする
こちらはエナジードリンク「REAL GOLD」の新商品CMです。
認知拡大を目的とした動画を制作する場合は、商品を間接的にアピールする構成が効果的です。
誰にでも刺さるようなメッセージで視聴者を惹きつけ、商品やサービスはあえて脇役として登場させます。
また商品を使っている時間や空間、ライフスタイルみたいなものを提案し、結で視聴者に商品サービスの必要性や価値を感じさせる動画構成も有効です。
この動画は『キャッシュレス』というテーマを一切使わずに、『お金ってなんだろう』と視聴者に考えさせることで『キャッシュレス』の良さを間接的にアピールした動画となっています。
理念を直接的にアピールする
時計メーカー「CITIZEN」のブランディングムービーでは企業理念やメッセージを直接的に視聴者に届けています。時計メーカーならではの演出もあり、視聴者を飽きさせない工夫がたくさんありましたね。
理念の良さを直接的にアピールする場合は、承の部分で商品の製造過程であったり、どんな困難を乗り越えてきたのかを盛り込むと、より視聴者の心に響く動画になります。
理念を間接的にアピールする
LIXILの理念を間接的にアピールしたブランディングムービーです。
思わず「幸せ」について考え込んでしまう、最後まで見たくなるような動画です。
このような理念を間接的にアピールする動画は、企業の理念やモノづくりへの想いに「共感」を得て、間接的に商品やサービスの購入につなげていく戦略です。
商品サービスを直接売り込むようなPRはせずに、哲学を示すような展開だったり、伏線を張っていくような展開から「こういう理念を伝えたかったんだ」と思わせる結末にしていくのが理想的な構成です。
広告動画の構成で使えるフレームワーク
フレームワークとは、視聴者の興味をひきつけ、理解や共感を深めて行動へとつなげるために欠かせない動画の構成のことです。なんらかの行動を促しコンバージョンなどを目的とする動画広告では、このフレームワークの構成に沿った展開や訴求が非常に重要となります。訴求内容や商材に合わせて、さまざまな特徴を持つ動画広告向けフレームワークが存在します。動画広告の効果を大きく左右することにもつながるため、商材やキャンペーンに適したフレームワークを選ぶことが大切です。
今回は代表的なフレームワークの1つ【CAMS】をご紹介します。
CAMS
CAMSは行動を促すことに特化したフレームワークで、はじめに視聴者からの共感を得ることで最後まで動画を視聴してもらえる構成を作成できます。
CAMSは以下の4つの構成で成り立っており、それぞれの頭文字をとって「CAMS」と呼んでいます。
- CATCH:つかみ
- APPEAL:ベネフィット
- MOTIVATE:動機付け
- SUGGEST:行動の提案
「CATCH」は視聴者の心をつかむパートです。動画開始から3秒ほどの間に、1~2カット挿入します。視聴者をひきつけ、最後まで動画広告を視聴してもらえるようにするのが目的。オトク感やベネフィットを伝えるよりも、悩みに対する共感や潜在的な感情に訴えかけるような内容が効果的です。
「APPEAL」はベネフィットを訴求するパートです。具体的にはブランドのロゴや商品サービスや、その特徴について紹介していきます。挿入カットは2~4カットほどが目安。「CAHTCH」パートとセットで考え、あわせて5秒以内になるような構成設計にするとよいでしょう。
「MOTIVATE」は視聴者が行動するための動機づけを行うパートです。冒頭の「CATCH」で提示した悩みや課題を、解決できる商品(サービス)や情報を提供できることを伝えるパートとして使用します。カット数の目安としては、1~3カット程度がおすすめです。よい情報を提供したいとつい内容を詰め込みすぎがちですが、ここは簡潔に伝わりやすい内容を意識して構成を組むようにしましょう。
「SUGGEST」では、視聴者に対して提案を行うパートです。商品の購入や資料のダウンロード、申し込みや登録など、目的とする行動を起こしてもらうために必要なパートとなります。単に提案を行うだけでなく、視聴者が行動できるよう、行動すべき理由や行動後の未来をしっかりと示してあげることが重要です。また視聴者の背中を押すためにも、手軽さやオトクさなどなどの文言を加えて、視聴者が行動しやすいよう促してあげると効果的です。
CAMSの構成を活かした参考例
CAMSを使うポイント
動画尺に柔軟に対応する「AMS」や「AS」などの応用パターンも存在します。
CAMSのフレームワークには動画の長さによって組み合わせを変えて運用できる汎用性の高さがあります。
CATCHを省き、冒頭からAPPEALパートを始める「AMS」や、さらに短くした構成ではMOTIVATEも省いて「AS」とするなど。
内容の訴求に欠かせないメインのAPPEALパートと、行動をすすめるSUGESTパートを残した「AS」が最もシンプルな構成です。
CAMSはこれらの4つのパートの組み合わせで多くの動画構成を展開することができるフレームワークであるため、動画の企画構成に役立ちます。
終わりに
今回は動画広告の作成に重要な起承転結の構成ポイントや参考になるフレームワークについて詳しく紹介してきました。
動画構成では「目的」「ターゲット」「発信媒体」の明確化が最も重要であり、それに対応して効果的な構成を考えることが基礎になります。
構成をゼロから考えるのは難しいですが、今回紹介したフレームワークや構成のポイントを意識して動画制作に活かしてください。